勤続30年は55歳前後での退職に該当し、定年退職や早期退職に伴う退職金受取りの典型的なケースです。退職所得控除は「800万円+70万円×10年」で1,500万円と非常に大きな控除額が適用されます。
退職金が1,500万円以下であれば全額非課税です。大企業の一般社員の退職金がこの範囲に収まることも多く、勤続30年の控除の恩恵は非常に大きいと言えます。退職金3,000万円の場合、退職所得は750万円(課税退職所得)で、税金は約152万円、手取り率は約94.9%です。
大企業で勤続30年の退職金は、一般社員で1,500万〜2,500万円、管理職で2,500万〜4,000万円程度が目安です。管理職クラスの退職金であっても、1,500万円の控除と2分の1課税の効果で、手取り率は90%以上を維持できるケースがほとんどです。
退職所得控除の計算では、勤続30年は20年超の優遇措置が10年分適用されます。具体的には、最初の20年分(40万円×20年=800万円)に、超過10年分(70万円×10年=700万円)が加算され、合計1,500万円です。この「20年超70万円加算」の仕組みが、長期勤続者にとって大きなメリットとなっています。
iDeCoとの受取タイミング調整では、勤続30年で55歳前後に退職する場合、iDeCoの受取りを65歳以降にすれば10年ルールをクリアできます。退職金で1,500万円の控除を使い、iDeCoでさらにiDeCoの拠出期間に応じた退職所得控除を使えるため、両方の控除を最大限活用できます。
定年退職に近い年齢での退職では、退職金の受取方法の選択がより重要になります。一時金で受け取れば退職所得控除を使えますが、年金で受け取れば公的年金等控除が適用されます。ただし、年金受取りの場合は公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)と合算されるため、公的年金等控除の枠を超えやすくなる点に注意が必要です。60歳以降に厚生年金を受給しながら退職金年金も受け取ると、高い税率が適用される可能性があります。
一般社員と役員の違いについても触れておきます。一般社員であれば勤続年数に関わらず2分の1課税が適用されますが、役員等の場合は勤続5年以下だと2分の1課税が適用されません。勤続30年の場合はこの制限は該当しませんが、役員退職金は金額が大きくなることが多いため、退職所得控除を超える部分の税負担にも注意が必要です。