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解説

10年ルールとは(2026年改正)

2026年1月1日以降に退職金を受け取る場合、退職所得控除の重複排除期間が従来の5年(iDeCoは19年)から10年に延長されました。

  • iDeCoの一時金を受け取った後、10年以内に退職金を受け取ると(またはその逆)、重複する加入/勤続年数分の退職所得控除が減額される
  • 10年超の間隔をあければ、それぞれ独立して退職所得控除をフル適用できる
  • 同時に受け取る場合は、勤続年数と加入年数のうち長い方で一本化して控除を計算

5年ルールと10年ルールの比較

2025年までと2026年以降では、退職所得控除の重複排除ルールが大きく異なります。

項目旧制度(〜2025年)新制度(2026年〜)
重複排除期間(前年以前に退職金受取)5年10年
重複排除期間(前年以前にiDeCo受取)19年10年
控除をフルに使える最短間隔6年(退職金先行)
20年(iDeCo先行)
11年(どちらの順序でも)
60歳iDeCo→65歳退職金の場合控除は完全に別計算重複分が減額される

ポイント: 旧制度ではiDeCoを先に受け取る場合19年の間隔が必要でしたが、逆に退職金を先に受け取れば6年で控除が回復しました。新制度では順序に関わらず一律10年となり、「退職金先行で6年あければOK」という抜け道がなくなった一方、「iDeCo先行」のハードルは19年から10年に下がりました。

具体例: 60歳でiDeCo受取 → 65歳で退職金

以下は「iDeCo加入20年・一時金800万円」「勤続30年・退職金2,000万円」の場合の比較です。

項目旧制度(5年ルール)新制度(10年ルール)
iDeCo受取(60歳)控除額800万円(20年分)800万円(20年分)
iDeCo課税退職所得0円0円
退職金(65歳)の重複減額0年分(5年超で回復)15年分(20年-5年)
退職金の実質控除額1,500万円(30年分フル)800万円(30年-15年重複)
退職金の課税退職所得250万円600万円
退職金の税額(所得税+住民税)約37.7万円約92.2万円
税額の差約54.5万円の増税

このように、10年ルールの導入により同じ受取方法でも数十万円単位で税負担が増える可能性があります。上のシミュレーターで、あなたの条件での最適な受取戦略を確認してください。

退職所得控除の計算方法

退職所得控除は勤続年数(またはiDeCo加入年数)に応じて決まります。

  • 20年以下: 年数 x 40万円(最低80万円)
  • 20年超: 800万円 +(年数 - 20)x 70万円

退職所得 =(退職金 - 退職所得控除)x 1/2 として計算され、他の所得とは分離して課税されます。

公的年金等控除(年金受取の場合)

iDeCoを年金形式で受け取る場合、公的年金等控除が適用されます。ただし、他の公的年金(厚生年金・国民年金)と合算されるため、控除枠を超えた分は雑所得として課税されます。

  • 65歳未満: 年間130万円以下なら60万円控除
  • 65歳以上: 年間330万円以下なら110万円控除
  • 年金額が多い場合は控除率が段階的に低下

iDeCoの受取戦略

最適な受取方法は個人の状況により異なりますが、一般的なポイントは以下の通りです。

  • 退職金が少ない場合: 同時一時金(パターンA)が有利になりやすい
  • 退職金が多い場合: iDeCo先行(パターンB)で10年以上あけると、控除を二重に活用できる
  • 他の公的年金が少ない場合: 年金受取(パターンD)で公的年金等控除を有効活用できる
  • 60歳で退職・iDeCo受取の場合: iDeCoを60歳で受け取り、退職金を70歳以降に繰延べられるなら控除を最大化できる(実際には退職金は退職時受取が一般的)

よくある質問

2026年の10年ルールとは何ですか?
2026年1月1日以降に受け取る退職金について、退職所得控除の重複排除期間がこれまでの5年(iDeCoは19年)から10年に延長されました。iDeCoの一時金と退職金を別々に受け取る場合、10年以上の間隔をあけないと退職所得控除が重複分だけ減額されます。これにより、受取順序やタイミングの最適化がより重要になっています。
iDeCoは一時金と年金のどちらで受け取るのがお得ですか?
一概には言えません。一時金受取は退職所得控除が使えるため税負担が軽くなりやすいですが、退職金との重複排除(10年ルール)の影響を受けます。年金受取は公的年金等控除が使えますが、他の公的年金と合算されるため、公的年金額が多い方は雑所得が増えて税負担が重くなる場合があります。本シミュレーターで具体的に比較することをおすすめします。
退職金とiDeCoの受取順序はどちらが先がお得ですか?
一般的にはiDeCoを先に一時金で受け取り、退職金を後から受け取る方が有利なケースが多いです。これはiDeCoの加入年数が勤続年数より短いことが多く、先にiDeCoの控除を使い切り、後から退職金で勤続年数ベースの大きな控除を使う方が、10年ルールの影響を最小化できるためです。ただし個々の条件により異なるため、シミュレーションでの確認が重要です。
従来の5年ルールと新しい10年ルールの違いは何ですか?
従来は退職金を受け取った後、5年超(iDeCoの場合は19年超)の間隔をあければ退職所得控除を再度フルに使えました。2026年の改正により、この期間が一律10年に延長されました。たとえば60歳でiDeCoを受け取り65歳で退職金を受け取る場合、従来は5年超で控除が完全回復しましたが、改正後は間隔5年では重複分が減額されます。詳しくは具体例をご覧ください。
10年待てない場合の対策はありますか?
10年の間隔をあけられない場合の主な対策は3つあります。
(1) iDeCoを年金形式で受け取る: 退職所得控除の重複排除を回避できます。ただし公的年金等と合算されて雑所得として課税されます。
(2) 一時金と年金の併給: iDeCoの一部を一時金(退職所得控除の範囲内)、残りを年金で受け取ることで税負担を最適化できます。
(3) 受取時期の調整: 退職金の受取時期を交渉・調整できる場合は、できるだけ間隔をあけることを検討してください。
いずれの場合も、上のシミュレーターで税額を比較して最適な方法を選ぶことをおすすめします。
60歳でiDeCo受取、65歳で退職金を受け取ると税金はどうなりますか?
60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、間隔は5年です。2026年の10年ルールにより、退職金の退職所得控除からiDeCo加入年数の重複分が減額されます。たとえばiDeCo加入20年・勤続30年の場合、退職金の控除から最大15年分(20年-5年)が減額される可能性があります。具体例の比較表で旧制度との差額も確認できます。
iDeCoの一時金と年金の併給はできますか?
はい、iDeCoは一部を一時金、残りを年金形式で受け取る「併給」が可能です。退職所得控除を使い切れる分だけ一時金で受け取り、残りを年金で受け取ることで、税負担を最適化できる場合があります。ただし、年金受取分は公的年金等と合算されて雑所得として課税される点に注意が必要です。上のシミュレーターのパターンD(年金受取)で年金受取時の税額を確認できます。
ご注意

本シミュレーションは簡易計算であり、実際の税額とは異なる場合があります。

復興特別所得税(2.1%)は所得税に含めて計算しています。住民税は一律10%で計算しています。

社会保険料(国民健康保険等)への影響は考慮していません。正確な税額は税理士等の専門家にご相談ください。

計算根拠・参照データ

本ツールの計算は、以下の公的機関のデータ・法令に基づいています。

※ 計算結果はあくまで概算です。正確な金額は各公的機関や専門家にご確認ください。

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