給与明細の用語辞典 - 全項目をわかりやすく解説【2026年】
最終更新: 2026年3月
給与明細の全項目を辞書形式で解説
給与明細には聞き慣れない用語がたくさん並んでいます。この用語辞典では、支給項目・控除項目・勤怠項目の全32項目を、検索・カテゴリフィルタ付きのカード形式でわかりやすく解説します。カードをクリック(タップ)すると、計算方法や関連ツールへのリンクなどの詳細情報が表示されます。
支給項目(もらえるお金)
基本給
支給項目毎月固定で支払われる基本的な給与
基本給は給与の土台となる金額で、残業代・賞与・退職金の計算基礎にもなる最も重要な項目です。給与体系には「職能給」(能力に応じた額)と「職務給」(役割・ポストに応じた額)があり、会社によって異なります。基本給が低く各種手当で補う会社は、残業代やボーナスの計算基礎が小さくなるため注意が必要です。
残業手当(時間外手当)
支給項目法定労働時間を超えた分に支払われる割増賃金
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた勤務に対して支払われます。割増率は通常25%以上、深夜(22時〜5時)は50%以上、法定休日は35%以上です。月60時間超の残業は50%以上の割増が義務付けられています(中小企業も2023年4月〜適用)。みなし残業(固定残業代)制度の場合は、超過分の支払いが別途必要です。
通勤手当
支給項目通勤にかかる交通費の支給。月15万円まで非課税
自宅から職場までの通勤にかかる費用を補助する手当です。電車・バスの定期券代や、マイカー通勤の場合はガソリン代等が支給されます。月15万円までは所得税が非課税ですが、社会保険料の計算対象(標準報酬月額に含む)には含まれます。テレワーク主体の場合は実費精算に切り替わるケースが増えています。
住宅手当
支給項目住居費用の補助。全額課税対象
従業員の住居費を補助するために支給される手当です。会社によって支給条件(賃貸のみ、持ち家も対象等)や金額が大きく異なります。通勤手当と違い全額が課税対象となり、社会保険料の計算にも含まれます。相場は月1〜3万円程度ですが、大手企業では5万円以上の場合もあります。
家族手当(扶養手当)
支給項目配偶者や子どもがいる場合の手当
扶養家族がいる従業員に支給される手当です。配偶者1〜2万円、子ども1人あたり5千〜1万円が相場です。近年は配偶者手当を廃止して子ども手当を増額する企業や、家族手当を廃止して基本給に組み込む企業も増えています。課税対象であり、社会保険料の計算にも含まれます。
役職手当
支給項目管理職等の役職に応じた手当
課長・部長などの役職に就いている従業員に支給される手当です。管理監督者に該当する場合は残業手当が支給されないことがありますが、労働基準法上の「管理監督者」の要件は厳しく、役職名だけで判断されるものではありません。いわゆる「名ばかり管理職」問題には注意が必要です。
資格手当
支給項目業務に関連する資格保有者への手当
業務に関連する国家資格や技能検定などを保有する従業員に支給される手当です。金額は資格の難易度や業務との関連度により異なり、月数千円〜数万円が一般的です。一時金として合格時に支給される「合格祝い金」と毎月支給される「資格手当」の2パターンがあります。
深夜手当
支給項目22時〜5時の勤務に対する25%以上の割増手当
午後10時から午前5時までの時間帯(深夜時間帯)に勤務した場合に支払われる割増賃金です。通常の賃金に加えて25%以上の割増が必要です。残業が深夜に及ぶ場合は、時間外割増25% + 深夜割増25% = 50%以上の割増率が適用されます。管理監督者にも深夜割増は適用されます。
休日手当
支給項目法定休日の勤務。35%以上の割増
法定休日(週1日の休日)に勤務した場合に支払われる割増賃金です。35%以上の割増率が適用されます。法定外休日(会社が独自に設定した休日)は25%以上の割増です。休日出勤が深夜に及ぶ場合は35% + 25% = 60%以上の割増になります。代休を取得しても割増分(35%分)の支払いは必要です。
賞与(ボーナス)
支給項目年2回程度の一時金。社保・所得税が引かれる
夏(6〜7月)と冬(12月)に支給されることが多い一時金です。基本給の数か月分が一般的ですが、業績連動型の企業も増えています。毎月の給与と異なり、賞与からは住民税は引かれませんが、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税は控除されます。賞与の社会保険料率は月給と同じですが、年間573万円の上限(厚生年金は150万円/回)があります。
控除項目(天引きされるお金)
健康保険料
控除項目医療費の自己負担を3割にする保険。会社と折半
病院での医療費が原則3割負担になる公的医療保険です。保険料率は都道府県ごとに異なり(協会けんぽの場合)、標準報酬月額に料率を掛けた金額を会社と従業員で折半します。大企業の健康保険組合の場合は、協会けんぽより料率が低いことが多いです。扶養家族は追加保険料なしで保障されます。
介護保険料
控除項目40歳以上が負担する介護サービス用の保険料
40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)が健康保険料に上乗せして負担する保険料です。介護が必要な状態になった場合の介護サービス費用を支える制度です。健康保険料と同様に標準報酬月額を基に計算され、会社と折半します。40歳の誕生日の前日が属する月から徴収が始まります。
厚生年金保険料
控除項目老後の年金のための保険料。18.3%を会社と折半
老齢年金・障害年金・遺族年金を受給するための保険料です。保険料率は18.3%で固定されており、会社と従業員で折半(各9.15%)します。標準報酬月額の上限は65万円で、月収がこれを超えても保険料は増えません。厚生年金に加入すると国民年金(基礎年金)にも同時加入したことになり、将来は基礎年金+厚生年金の2階建てで受給できます。
雇用保険料
控除項目失業時の失業手当等のための保険料。労働者負担は0.6%
失業した場合の基本手当(失業手当)、育児休業給付金、教育訓練給付金などを受給するための保険料です。健康保険・厚生年金と違い、標準報酬月額ではなく毎月の総支給額(通勤手当を含む)に料率を掛けて計算します。労働者と事業主で負担率が異なり、事業主のほうが多く負担します。
所得税(源泉徴収税)
控除項目毎月概算で天引きされ、年末調整で精算
毎月の給与から概算額が源泉徴収(天引き)されます。課税対象額(総支給額 - 非課税通勤手当 - 社会保険料)と扶養人数を基に、源泉徴収税額表で金額が決まります。毎月は概算のため、12月の年末調整で年間の過不足を精算します。扶養控除等申告書を提出していれば「甲欄」(税額が安い)、未提出なら「乙欄」(税額が高い)が適用されます。
住民税(特別徴収)
控除項目前年の所得に基づき6月〜翌5月で天引き。1年目は0円
前年1月〜12月の所得に基づいて計算され、翌年6月〜翌々年5月の12回に分けて給与から天引き(特別徴収)されます。税率は一律10%(市区町村民税6% + 都道府県民税4%)+均等割(約5,000円/年)です。新入社員1年目は前年所得がないため住民税は0円ですが、2年目の6月から前年分が課税されるため手取りが減ります。
財形貯蓄
控除項目会社を通じた積立貯蓄。一般/住宅/年金の3種類
会社の給与天引きで積み立てる貯蓄制度です。「一般財形」(使途自由)、「住宅財形」(住宅取得目的・利子非課税)、「年金財形」(老後の年金目的・利子非課税)の3種類があります。住宅財形と年金財形は合計550万円まで利子が非課税になるメリットがあります。会社によっては奨励金が出る場合もあります。
組合費
控除項目労働組合の会費
労働組合に加入している場合に給与から天引きされる会費です。一般的に月額給与の1〜2%程度、または定額(数千円)で設定されています。労働組合はベースアップや労働条件の改善交渉、福利厚生の充実などを行います。ユニオンショップ制の企業では加入が実質的に義務付けられています。
社宅費
控除項目会社の社宅を利用する場合の家賃控除
会社が提供する社宅や借上社宅に住んでいる場合、家賃の一部が給与から控除されます。一定額以上を徴収していれば、会社負担分は給与として課税されません(賃貸料相当額の50%以上の徴収が目安)。住宅手当として支給されるより、社宅制度のほうが税金・社会保険料の面で有利になるケースが多いです。
団体保険料
控除項目会社経由の生命保険等の保険料
会社が保険会社と団体契約を結んでいる生命保険・医療保険・損害保険などの保険料です。個人で加入するより保険料が割安になるメリットがあります。給与天引きで確実に支払われるため、保険会社にとってもリスクが低く、その分保険料が安く設定されています。年末調整で生命保険料控除の対象になります。
勤怠項目(出勤・勤務時間の記録)
出勤日数
勤怠項目実際に出勤した日数
当月に実際に出勤(勤務)した日数です。所定労働日数(会社カレンダーで定められた出勤日数)と一致しているか確認しましょう。有給休暇を取得した日は出勤日数には含まれないのが一般的ですが、会社によって表記が異なります。テレワーク・在宅勤務日も出勤日数に含まれます。
欠勤日数
勤怠項目無断欠勤等の日数。基本給から日割り控除
有給休暇を使わずに休んだ日数です。「ノーワークノーペイの原則」により、欠勤した日数分の給与が基本給から控除されます。計算方法は「月給 ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数」が一般的ですが、「月給 ÷ 暦日数 × 欠勤日数」で計算する会社もあります。欠勤が多い場合は賞与や昇給にも影響します。
有給休暇取得日数
勤怠項目給与が支払われる休暇の取得日数
年次有給休暇を取得した日数です。入社後6か月で10日付与され、勤続年数に応じて最大20日まで増えます。2019年4月から年10日以上付与される労働者には年5日の取得が義務化されています。未取得分は翌年に繰り越せますが、2年で時効消滅します。半日単位や時間単位の取得を認める会社もあります。
残業時間
勤怠項目法定労働時間を超えた時間数
1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて勤務した時間の合計です。36協定の範囲内で残業が認められ、上限は原則月45時間・年360時間です。特別条項付きでも月100時間未満(休日労働含む)・複数月平均80時間以内が上限です。残業時間と残業手当が正しく対応しているか毎月確認しましょう。
深夜時間
勤怠項目22時〜5時の勤務時間
午後10時から午前5時までの深夜時間帯に勤務した時間の合計です。この時間帯に勤務した場合、深夜手当(25%以上の割増)が別途支給されます。時間外労働が深夜に及んだ場合は、時間外割増と深夜割増の両方が適用されます。シフト制の場合は深夜勤務が定常的に発生します。
休日出勤日数
勤怠項目法定休日に出勤した日数
法定休日(週1日の休日)または所定休日に出勤した日数です。法定休日の出勤には35%以上の割増賃金が必要です。休日出勤の代わりに別の日に休む「代休」を取得しても、割増分(35%部分)の支払いは必要です。「振替休日」として事前に休日を変更した場合は割増は不要ですが、週をまたぐ場合は別途計算が必要です。
遅刻早退時間
勤怠項目遅刻・早退の合計時間
所定の始業時刻に遅れた時間(遅刻)と、所定の終業時刻より前に退勤した時間(早退)の合計です。ノーワークノーペイの原則により、遅刻・早退した時間分の給与が控除されます。会社によっては一定回数まで減給なしとしたり、フレックスタイム制でコアタイム外の遅刻早退を柔軟に扱う場合もあります。
その他の重要用語
標準報酬月額
その他社会保険料の計算基準となる金額。4-6月の平均で決定
健康保険料と厚生年金保険料の計算基準となる金額です。毎年4月・5月・6月に支払われた給与(基本給+各種手当+残業代+通勤手当)の平均額を基に等級が決定され(定時決定)、9月から翌年8月まで適用されます。この期間の残業が多いと標準報酬月額が上がり、1年間の社会保険料が高くなります。昇給などで大幅に変動した場合は随時改定されます。
課税支給額
その他所得税の計算対象となる支給額。非課税の通勤手当は含まない
所得税の計算対象となる支給額の合計です。総支給額から非課税の通勤手当を差し引いた金額です。基本給・残業手当・住宅手当・家族手当・役職手当などは全て課税対象ですが、通勤手当(月15万円まで)は非課税となります。この課税支給額から社会保険料を差し引いた金額が、源泉徴収税額表に当てはめる「課税対象額」になります。
差引支給額(手取り)
その他総支給額から全控除を引いた実際の振込額
最も重要な項目です。総支給額(額面)から社会保険料・税金・その他の控除をすべて差し引いた、実際に銀行口座に振り込まれる金額です。一般的に額面の75〜85%が手取りとなります。年収が高いほど税率が上がるため手取り率は下がります。入社2年目の6月からは住民税の天引きが始まるため、手取りがさらに減ります。
年末調整
その他毎月概算で引かれた所得税を年末に精算する手続き
毎月の給与から概算で源泉徴収された所得税を、12月の給与支給時に年間の正しい税額と比較して過不足を精算する手続きです。生命保険料控除・住宅ローン控除(2年目以降)・扶養控除などが反映され、多くの場合は還付(返金)となります。会社が代行してくれるため、ほとんどの会社員は確定申告が不要です。
確定申告
その他年末調整で対応できない控除がある場合に自分で申告
会社の年末調整では処理できない所得や控除がある場合に、翌年2月16日〜3月15日の期間に税務署に申告する手続きです。医療費控除、初年度の住宅ローン控除、ふるさと納税(6自治体以上の場合)、副業の所得(20万円超)、年収2,000万円超などが該当します。e-Tax(電子申告)を利用すれば自宅からオンラインで申告できます。
給与明細を読めるようになるメリット
なぜ給与明細を理解すべきなのか
給与明細は単なる「お金の通知書」ではありません。自分の報酬が正しく計算されているかを確認する重要な書類です。実際に、社会保険料の等級の誤りや残業手当の計算ミスは珍しくありません。給与明細を読み解く力を身につけることで、こうした誤りに気づき、適正な報酬を受け取ることができます。また、控除項目の仕組みを理解することで、節税対策や将来の年金受給額の見通しにも役立ちます。
手取りが思ったより少ない理由
初めて給与明細を受け取った新社会人が驚くのが「手取りの少なさ」です。額面25万円でも手取りは約20万円程度になります。最も大きな控除は社会保険料で、健康保険料(約5%)・厚生年金保険料(約9.15%)・雇用保険料(0.6%)を合わせると額面の約15%が天引きされます。さらに所得税(5〜45%の累進課税)と、2年目以降は住民税(一律10%)が加わります。ただし、これらの控除は将来の年金や医療保障、失業時のセーフティネットとして機能しているため、単なる「取られるお金」ではないことを理解しておきましょう。
社会保険料の仕組み(標準報酬月額とは)
社会保険料(健康保険・厚生年金)は、毎月の実際の給与額ではなく「標準報酬月額」という基準額に保険料率を掛けて計算されます。標準報酬月額は毎年4月〜6月の給与の平均額をもとに決定(定時決定)され、9月から翌年8月まで適用されます。つまり、4〜6月に残業が多いと標準報酬月額が高くなり、9月以降1年間の社会保険料が高くなるのです。逆に言えば、この時期の残業を抑えれば保険料を低く抑えられる可能性がありますが、将来の年金受給額にも影響するため慎重な判断が必要です。
所得税と住民税の違い
所得税と住民税は、どちらも所得に基づく税金ですが、大きな違いがあります。所得税は「今年の所得」に対して毎月概算で源泉徴収され、年末調整で精算されます。税率は5%〜45%の累進課税で、所得が多いほど高い税率が適用されます。一方、住民税は「前年の所得」に対して一律10%で課税され、翌年6月〜翌々年5月に天引きされます。そのため新入社員の1年目は住民税が0円ですが、2年目の6月から前年分の住民税が引かれ始め、手取りが減ることになります。これが「2年目の手取りショック」と呼ばれる現象です。
給与明細で確認すべきチェックポイント
- 残業時間と残業手当が合っているか: 自分で記録した残業時間と明細の時間が一致するか確認。サービス残業になっていないか要チェック。
- 社会保険料が急に変わっていないか: 毎年9月に標準報酬月額が改定されるため、保険料が変わることがあります。それ以外の月に大きく変動した場合は確認が必要です。
- 住民税の変動: 毎年6月に税額が更新されます。ふるさと納税をした場合は、その分が反映されているか確認しましょう。
- 有給休暇の残日数: 付与日数と取得日数の管理は自分でも行いましょう。年5日の取得義務を満たしているかの確認にもなります。
- 年末調整後の12月の明細: 所得税が還付されているか、各種控除が正しく反映されているかを確認しましょう。
給与に関するよくある誤解
「4〜6月に残業しないほうが得」という情報が広まっていますが、社会保険料を低く抑えることは将来受け取る年金額が減ることにもつながります。また「住民税は高い」と感じる方が多いですが、税率は一律10%であり所得税のほうが高税率です。住民税が高く感じるのは、前年の所得をベースに計算されるため、昇給やボーナスが反映された翌年に「去年の分」としてまとめて課税されるからです。さらに「社会保険料は損」と思いがちですが、健康保険には傷病手当金(給与の約2/3を最大1年半支給)や出産手当金などの手厚い保障があり、厚生年金は国民年金の約2倍以上の年金を受給できるため、長い目で見れば大きなリターンがあります。
よくある質問
給与明細の見方がわからない
手取りが少ない原因は?
住民税が0円なのはなぜ?
標準報酬月額とは?
関連ツール
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- 社会保険料率・税率は2026年度時点の情報です。法改正により変更される場合があります。
- 会社独自の手当や控除項目は、就業規則や給与規程をご確認ください。
- 正確な金額や計算方法は勤務先の給与担当者または税理士にお問い合わせください。
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計算根拠・参照データ
本ページの内容は、以下の公的機関のデータ・法令に基づいています。
- 国税庁「源泉所得税(タックスアンサー)」
- 日本年金機構「厚生年金保険」
- 厚生労働省 - 社会保険・労働に関する情報
※ 計算結果はあくまで概算です。正確な金額は各公的機関や専門家にご確認ください。